紹介してくれるマニアさん
最近は伝統的なオーセンティックバーだけでなく、アメリカの禁酒法時代のバーをイメージしたスピークイージーバー(潜り酒場)や、バーテンダーさんの得意分野に振り切った個性的なコンセプトを持つバーも増えています。
国内でも国外でも、どこかに訪れるときは必ずその場所にあるバーを事前に調べて、1日に3軒はハシゴするというのが、自分に課しているミッションであり、ライフワークです。
大阪には来る機会が多いので、お気に入りの長いリストがあります。好みにあうバーに出会ったら、そこから次のお店を紹介してもらうとヒット率は高くなると思いますので、ぜひその1軒目になるようなバーを、今回の記事から探してもらえたら嬉しいです。
おもてなし精神の高い大阪のバー
大阪のバーの良いところは、バーテンダーさんとの距離感が近いところ。オーセンティックバーには会話をしてはいけない雰囲気があるようなところも多いなか、大阪では話しかけてくれる人が多いですし、お客様同士もよくしゃべりますよね(笑)。そして、すべてのバーテンダーさんがなんだか面白い!それって大阪のすごさだなあと思います。
本格的なバーであってもフレンドリーさがあるので、バーデビューしたい方には大阪がおすすめです。あと、もうひとつの特徴として、大阪のバーは全般的に食が充実しています。大阪のバーはおもてなし精神の塊。大阪のバーの魅力をたくさんの方に知ってほしいなと思います。
世界的カクテル大会で準優勝した実力派バーテンダーの"作業場"
独自のセンスでカクテルをアップグレード!
「CRAFTROOM」とは、お針子さんの作業場という意味。「1920年代アメリカのクラフトルームのようにツールがいっぱいある空間をイメージしました。私自身オールドアメリカンな雰囲気が大好きですし、カクテルが育った土地としてもアメリカをリスペクトしていますので」と語るのは、オーナーの藤井隆さん。大阪駅前第1ビルの地下にありますが、一歩足を踏み入れると周囲とはちがった時間の流れを感じます。
2020年にこの店をオープンした藤井さんは、北新地の名店に13年つとめ、2016年にはマイアミで開催された「ワールドクラス グローバルファイナル」で準優勝に輝いた実力派。
「CRAFTROOM」のカクテルのメニューは「CLASSIC GIANTS」「FAST DRINKS」「MODERN&SIGNATURE」に分かれていますが、どのカクテルにもオリジナリティが加えられ、独自のセンスを感じます。
たとえば、クラシックカクテルの「オールドファッションド」(1,430円)は、かなりしっかりとした自家製アンゴスチュラ・ビターズを使って味の輪郭を際立たせています。
「CRAFTROOM」らしさが最も堪能できるのは、「MODERN&SIGNATURE」に分類されるカクテルかもしれません。たとえば、その一つ「Ethiopian Night」(1,650円)は、藤井さんがフレンチのシェフとペアになってレシピを考えていたときに、エチオピアコーヒーのテイスティングノートを見てひらめいたカクテルだそう。
「カクテルのアイデアはあらゆるところから出てきます。シェフやパティシエと話をしているときに思いつくことも多いですね。どこにでもあるもので、どこにもないものを作りたいと思っています」と、藤井さん。
昔ながらのビル地下の飲食フロアに突如として、オールドアメリカンなバーが現れるギャップが魅力です。音楽やカクテルにもコンセプトが落とし込まれていて、藤井バーテンダーのセンスの良さをすみずみまで感じます。駅の改札まで1分と、アクセス良好なのも嬉しい!
海外からの訪問客で賑わう、スピークイージー的なバー
ハーブ、スパイスが鮮烈なツイスト系カクテル
アメリカ村三角公園の交番斜向かいのビルの5階にある「Bar Nayuta」。お店の外には店名などが出ておらず、目印になるのはロゴマークだけ。それにも関わらず海外からの訪問客を含むお客様でいっぱい。暗めの店内はヴィジュアル的にもかっこよく、日本にいることを忘れてしまいそう。
「バックバーにはお酒のブランドがわかるようなラベルをあまり見せないようにしています。特に初めてお越しいただくお客様は、自分の知っているものが目に映るとそれを頼んでしまいがちなので。会話をして、実際に飲みたいものを聞き出す一つの手段だと思っています」と、オーナーの中山寛康さん。
カクテルはすべて1,500円+tax。メニューのないお店なので、すべて一人ひとりの気分や要望にあわせて作ってもらえます。定評があるのは、ハーブやスパイスにフォーカスを置いたカクテル。
独自の世界観を醸し出しているスピークイージー(潜り酒場)的なバーで、海外からの訪問客で賑わっています。オーナーの中山さんも、中山さんが作るカクテルも、とにかくかっこいい!
モクテル(ノンアルコールカクテル)専門の日本初バースタンド
華やかで独創性あふれるモクテルが勢ぞろい
モクテルは、「Mock(似せた)」と「Cocktail(カクテル)」を合わせて作られた造語。そのモクテル専門のバースタンドを、2019年に日本の誰よりも早く立ち上げたのが「TMBM(The Mocktail Bar MORI)」であり、バーテンダーの桐山透さんです。
「モクテルはバーテンダーの個性がはっきりと出る飲み物です。カクテルに近づければいいというものでもありません。私の場合は、材料の成分や香気に注目してロジカルに作ることも多いですね」と語る桐山さん。
ノンアルコールバーのトレンドを作ったお店のひとつです。お店の作りもドリンクもエンターティメント性があり、お酒が入っていなくても気持ちが上がる華やかさがあります。
まるでお酒の図書館!ミナミを代表するオーセンティックバー
フレッシュフルーツを味わう至福のカクテル
心斎橋駅と長堀橋駅の真ん中あたり、夜な夜な賑わう鰻谷南通に面した、ミナミを代表するオーセンティックバー。重めの扉を開くと、店内はまるでお酒の図書館のよう。
1996年の創業以来、若手実力派バーテンダーを数多く輩出している名店でありながら、温かく親しみやすい雰囲気なのもうれしい。
大阪だけでなく、東京や海外でも活躍する実力派バーテンダーを多数輩出している名店です。混んでいて入れないことも多いですが、その時は輩出したバーテンダーのお店を紹介してくれることも。
常時20種類ものコーヒーカクテルが揃うコーヒー専門店
コーヒーの楽しみを広げるカクテルの世界
「コーヒーを味わい尽くす」をコンセプトに、2022年10月にリニューアルオープン。自家焙煎のコーヒーとコーヒーカクテルの専門店となった「ISTA COFFEE ELEMENTS」。
オーナーの野里史昭さんはバリスタとしてキャリアを積み、カフェのメニュー開発や講師として活躍。競技会にも積極的に参加し、2018年にはコーヒーカクテルのワールドチャンピオンに輝きました。
「ISTA COFFEE ELEMENTS」では、常時20種類ほどのコーヒーカクテルが楽しめます。コーヒーカクテルが初めてという人に、まず飲んでみてほしいのが「アイリッシュコーヒー」(1,100円)です。
コーヒーカクテルにここまで振り切っているお店は、世界にも類がないと思います。バリスタならではのテクニックが感じられるのは、ショートケーキのような味わいの「エレメント」。ラテアートをするように、カクテルにクリームで模様を描く姿が見事です。
【編集後記】
お酒を静かに楽しむ伝統的なオーセンティックバーから、海外からの訪問客で賑わうスピークイージー的なバー、バーテンダーさんの個性や得意分野に振り切ったバーまで。大阪にはそれぞれの分野において「名店」と呼ぶにふさわしいバーが多数存在していることがわかりました。カクテルの技術的な進化にともなって、今までになかった驚くようなオリジナルカクテルが登場し、モクテルと呼ばれるノンアルコールカクテルの進化の勢いも止まらない。大阪のバーはこれからますます楽しくなりそうです!